住宅ローンの資料を見ると、「繰上返済」についての記載があります。ローンを先払いする様に見える表現ですが、ローンの仕組みを知った上で活用すれば、経済的に大きなメリットのある返済方法となります。
繰上返済の仕組みとは
住宅ローンの繰上返済は、まとまった金額を先に返済する方法なのですが、最初に知っておきたいのが「どの様な効果のある返済方法か」という点です。
住宅ローンの利子について
住宅ローンの利子は、元金に対して複利で掛かって来ます。利子には単利と複利があり、単利は元金に対して利率が何%であるかで決まりますが、複利の場合は、元金と利子の合算に、更に利子が付く形になります。
ですから、単利の場合は直線的な関数でトータルの額が増えますが、複利の場合は時間が経つ程に曲線的に上昇して行きます。複利は「雪だるま式」と言われますが、利子の額が時間の経過と共に上昇する点から、その様に言われるのです。
繰上返済は元金部分の返済になる
住宅ローンの繰上返済は、返済額の全額を減らすのでは無く、借り入れた元金部分を返済することに充てられます。そして、複利の利子は、元金と利子の合算に付くので、元金が減れば繰上返済後の利子も減ります。その結果、繰上返済後の利子は抑えられるのです。
早い段階での繰上返済が効果的
住宅ローンの利子は複利なので、借入期間が長い程、トータルの利子が増えて行きます。それを、繰上返済を使って早い段階で元金を減らせば、利子の発生を抑えることが出来ます。逆に、繰上返済を遅い段階で使っても、利息が膨らんだ後なので、効果は薄れてしまいます。
複利の利子は時間と共に膨らみます。初めの段階で繰上返済を利用して元金を減らせば、利子の膨らみを鈍化させ、トータルの支払いを減らす効果があるのです。
繰上返済のメリットは?
繰上返済には利子の支払いを減らす効果がありますが、それでは実際のローンの返済はどうなるのでしょうか?
支払い期間を短くできる
繰上返済をすると、利子の支払いが減るため、全体の返済金額も減ります。ですから、月々の返済金額をそのままで設定しておけば、返済期間が減るのです。
完済の時期を早くすることが出来れば、将来的な資金計画に余裕が出て来ます。定年を見据えて老後の生活資金を用意したり、子供の学資の準備の場合に有利になります。
毎月の負担額を減らせる
繰上返済はトータルの支払いを減らすことが出来るので、返済期間は据え置けば、毎月の返済額を減らすことも可能となります。毎月の返済が少なくなれば、生活資金に余裕が出て来ます。
繰上返済をする場合のポイント
住宅ローンの返済に繰上返済が有用なのは分かりましたが、注意点が無い訳ではありません。住宅ローン返済には計画性が重要で、繰上返済も検討した上で行うべきです。
手元に残すお金を忘れない
繰上返済にあたって必要な注意点は、手元に残す生活資金を忘れないことです。
確かに繰上返済によって出来る経済的な余裕は魅力的ですが、手元の資金を繰上返済にまわしすぎると「もしもの時」への対応が出来なくなってしまいます。余裕が出来たときの繰上返済は効果的ですが、手元に残す資金とのバランスを忘れない様にしましょう。
インターネットでの手続きが便利でおすすめ
インターネットバンキングは、銀行の様々な手続きに非常に便利です。金融機関にもよりますが、手数料が掛からない手続きも多く、支出を抑える点でも有効です。
住宅ローンの繰上返済も多くの銀行がネットバンキングに対応していて、多くの場合が手数料が無料で対応しています。金融機関窓口に行くと、事務手数料も発生する場合も多いので、費用と手間を考えるならば、ネット経由がおすすめです。