贈与税には特例があるのを知っていますか?本来なら、贈与する際に余分に税金が発生してしまいますが、特例により、住宅購入の際には贈与税を非課税にすることができます。
住宅購入のような大きな買い物では、親が購入資金の一部を持つことも多いと思います。親の負担を少なくするためにも、どうすれば贈与税を非課税にできるのでしょうか?
特例の条件や非課税になる金額、注意事項などを紹介します。
贈与税の特例
本来、親から子へ資金提供する場合、贈与税という税が課せられます。年間110万円以上を渡すことで、税金を余分に支払わなければならないのです。
ですが、それだと親の負担が大きくなってしまいます。教育資金は年間110万円以上しますし、親によっては結婚資金をお祝いする親もいるでしょう。それらすべてに税が掛かるようでは、親の負担が大変なことになってしまいます。
そこで国は、親の負担をなくすため、「目的がしっかりした贈与」に関してのみ、特例で税を軽くする法律を付けたします。
上記で記載した教育資金や結婚資金、住宅取得等資金などが対象となり、これにより、親が子に資金提供しやすくなったのです。
住宅取得等資金贈与の特例
住宅取得等資金贈与の特例により、一定金額まで贈与税を非課税にすることができます。これにより、住居購入の一部を贈与税なしに資金提供できるようになりました。
最大3000万円する非課税にすることができます。色々と条件もありますが、上手く利用することで節税対策をすることができるわけです。
特例の条件
特例は無条件ではありません。条件を満たしている場合にのみ特例を受けることができます。
・贈与先が、直属の家族であること(親戚はダメ)
・受贈者が満20歳以上であること
・受贈者の年間所得が2000万円以下であること
・住宅取得等資のため、贈与された年度(来年の3月15日)までに居住できていること(間に合わなかったり、居住以外の目的ではダメ)
・適用期限である「2021年」以内であること
・贈与した際に、受贈者が日本に住所を持っていること
特例の結果
実際にどの程度の金額が非課税になるのかを確認します。現在の非課税分と、将来、消費税10%に改正された場合の二つを紹介します。
非課税の金額:消費税8%版
契約年 | 省エネなどの住宅 | 左記以外の住宅 |
~平成27年12月31日 | 1500万円 | 1000万円 |
平成28年1月~平成32年3月(2020年以前) | 1200万円 | 700万円 |
平成32年4月~平成33年3月(2020年~2021年) | 1000万円 | 500万円 |
平成33年4月~平成33年12月(2021年の間) | 800万円 | 300万円 |
左の「省エネなどの住宅」とは、省エネ等基準に適している場合を指します。断熱等性能等級や耐震等級などが一定の値以上あると証明された住宅が対象です。
また、早く申請する方が非課税も高くなります。すぐに住宅の購入は難しいですが、可能なら早めに行った方がいいといえるでしょう。
非課税の金額:消費税10%版
契約年 | 省エネなどの住宅 | 左記以外の住宅 |
平成31年4月~平成32年3月(2019年~2020年) | 3000万円 | 2500万円 |
平成32年4月~平成33年3月(2020年~2021年) | 1500万円 | 1000万円 |
平成33年4月~平成33年12月(2021年の間) | 1200万円 | 700万円 |
消費税8%版と比較してもらえればわかりますが、だいぶ非課税になるのがわかります。消費税が上がり住宅の値段も上昇しますが、特例をうまく利用すれば、かなりの節税になるのです。
特例の注意点
特例は節税ができ便利ですが、注意しなければならないことがあります。場合によっては特例の適用外になる場合もありますので注意してください。
贈与申請は必ず行う
住宅取得等資金贈与を行った場合、必ず国へ申告しなければなりません。これは特例であっても同じことです。たとえ特例によって贈与税が0円であっても、贈与したという記録を残す必要があるのです。
よく、贈与税が0円だと、贈与していないと勘違いして申告しない人がいます。それにより、特例の対象から外されトラブルになるという話もあります。
贈与税の申告は、「贈与金額」だけではなく、「贈与する行為そのもの」を記録します。それを忘れないように、必ず申告しましょう。
贈与申請には期限がある
贈与税の申告は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日までに申告しなければなりません。
もし、その期間に申請しないと、特例と認められなくなってしまいます。場合によっては納税(贈与税の)していないとみなされる場合もありますので、贈与した次の年に忘れないようしてください。
後からの適用はできない
贈与税の申告は「購入の際の贈与」に関して適用されます。
仮に、住宅ローンを契約し、後にローン返済のために贈与しても特例に当てはめることはできません。この場合は、ただの贈与として見なされ、贈与税が発生します。
特例を利用する際は、住宅購入の際にしか適用されませんので注意してください。
特例以外の節税
特例以外にも節税するものは色々あります。「住宅ローン控除」「相続時精算課税の特例」「暦年贈与の特例」など、様々です。
ただし、それら複数の特例は組み合わせて申請することはできません。また、政策によって節税金額に大きな違いがあります。
よりお得に節税するためにも、それぞれの政策を理解し、比較することが大切です。そして、比較し、よりお得になる政策で申請しましょう。