人間、誰しもいつかは亡くなります。これはどうあっても変えることはできず、いつかは悲しみに直面しなければなりません。
ですが、いつまでも悲しんではいられません。土地や建物など、遺産相続をしなければならないからです。しかし、いざ遺産相続をするといわれても、「誰にどの程度の相続があるのか」なんてわからないと思います。多くの人は「遺産相続=財産が貰える」程度しかわからないのではないでしょうか?
遺産相続はどのように行われるのか?また、遺産相続者が決まる「法定相続人」とは何なのか?遺産相続をする際に揉め事が無いようにするためにも、遺産相続のルールを事前に知っておきましょう。
法定相続人とは?
法定相続人とは、「遺産相続の際に遺産が貰える人」の事を指します。配偶者と法定相続人に選ばれた人が遺産を貰うことができるのです。
一般的には「亡くなった人の親族が相続人」程度の認識で構いませんが、親族が多すぎるとどのように分配するかがわからなくなってしまいます。場合によっては、遺産が多い少ないによってもめる可能性だってあるのです。
そんなことが無いようにするため、法律で法定相続人を決め「誰が遺産を相続できるか」を定めているのです。
法定相続人に指定される順位と配分
法定相続人に指定されたからといって、全員が同じ順位や配分なわけではありません。亡くなった人に対して、「どのような関係なのか」によって変わります。
配偶者
最も本人に近しい人は「配偶者」です。人生のパートナーである配偶者は、最も優先される法定相続人といえるでしょう。どのような場合でも配偶者は法定相続人になります。子供や両親、親族がいなければ、財産はすべて配偶者のものになるのです。
ただし、配偶者は結婚届が受理されている人のみに限られます。結婚予定だろうと同居が長かろうと結婚届が受理されていなけれな配偶者ではありません。配偶者でなければ、遺産相続の際に法定相続人になれませんので注意しましょう。
第一順位:子と孫
配偶者を抜かせば、最も法定相続人の順位が高いのが本人たちの「子供」です。子供がいることが条件ではありますが、法定相続人に選ばれます。
子供は生まれている子供だけではなく、胎児も含まれています。というのも、民法で「胎児は生まれている」とされているからです。一般的に10カ月で出産します。ですが、実際には出産のズレがあり、赤ちゃんによって産まれてくる日にちが違うのです。産まれが早いかどうかで法定相続人になれないのはとても不合理です。そのため、胎児をすべて「生まれたものとみたし」不合理をなくすように規定しました。
逆に、婚姻届けのない男女から生まれた子供、いわゆる隠し子は法定相続人の対象になりません。父親から認知されれば法定相続人になることはできますが、認めなければ血がつながって居ても法定相続人にはなれないのです。
それと、もし子供が先に亡くなっている場合は子供の子供、いわゆる孫が第一順位に収まります。子供の代わりですので子供が生きていたら対象にはなりませんが、覚えておくといいでしょう。
遺産の配分
遺産の配分は配偶者が1/2、子供が1/2です。子供が多ければ子供の取り分から人数分割った財産が一人の取り分となります。
第二順位:両親と祖父母
子供の次に順位が高いのが「両親」です。子供がいない場合は、配偶者と両親で遺産を分けます。また、もし両親がすでに亡くなっている場合は、親の親、つまりは祖父母が法定相続人の対象になります。
もちろん、両親の代わりですので、両親が生きていれば対象にはなりません。この部分は、第一順位に孫が指名される場合と同じです。
遺産の配分
遺産の配分は配偶者が2/3、両親が1/3です。両親の取り分を2人で割った遺産が父と母それぞれの取り分となります。
第三順位:兄弟と甥・姪
両親の次に順位が高いのが「兄弟・姉妹」です。すでに両親が亡くなっている場合は兄弟に法定相続人が変更されます。
また、孫や祖父母と同じように、兄弟が亡くなっている場合は、兄弟の子供、つまりは甥・姪に法定相続人が変更されます。
遺産の配分
遺産の配分は配偶者が3/4、子供が1/4です。兄弟が多ければ兄弟の取り分から人数分割った財産が一人の取り分となります。
順位が変わる条件
基本的に法定相続人の順位は決まってはいますが変更が無いわけではありません。条件によっては順位が変更したり、対象外になることもあります。
相続放棄
相続放棄とはその名の通り、「遺産の相続を放棄する」ことです。遺産は必ず相続しなければならないわけではありません。遺産相続の争いに巻き込まれないようにしたり、借金を背負わないようにしたりなど、理由があって相続破棄する場合もあります。
相続放棄すると「いない者」として扱われます。放棄することで法定相続人にはならないのです。もし第一位の子供が相続放棄した場合、子供が生きていても法定相続人の権利は第二位の両親に移るというわけです。
遺言書
法定相続人の順位は遺言書によって変更される場合があります。遺言書は本人の最後の言葉です。法定相続人よりも決定権が高く、遺言書に記してある人に財産が分配されます。
これは、親族以外でも構いません。世話になった人、好きだった人、大切な人などにも遺産を渡すことができます。他にも取り分の変更など、遺言書は遺産分配に強い決定権を持ちます。
ただし、遺言書は形式通りでなければ効果がありません。また、遺言書に異議を唱えて遺産分配協議をすることも可能です。ですので、遺言書があるからといって絶対にその通りになるわけでありません。
遺産相続揉めたら弁護士に相談
遺産相続は遺産が大きければ大きい程揉めます。誰でも資産は欲しいですのでそれは仕方がないことだと思います。もし、遺産相続で揉めるようなら弁護士や家庭裁判所に相談するといいです。どちらも仲裁のプロですので、それぞれの落としどころを決めて仲裁してくれます。中立である第三者の意見を聞くためにも、相談することをおすすめします。