不動産における境界とは?どんな境界トラブルに注意すればいいの?

不動産における境界とは?どんな境界トラブルに注意すればいいの?

土地をめぐる問題は、「境界線トラブル」と呼ばれています。個人が所有する境界を侵略することで生じる問題だからです。ですが、境界は一般的には見ることができません。いったいどのようにして境界を区別しているのでしょうか?境界の仕組みや境界線トラブルについて紹介します。

境界とは?

境界とは、「物事や領域を分ける境目」のことを指します。紙に線を引いて右と左に分けた際、線を引いた場所が境界です。
これは土地に付いても同じことがいえます。実際には線は引いてありませんが、国が定める境界線が存在しており、その線ごとで所有者が違ってくるのです。

境界線トラブルとは?

よく境界線トラブルといわれている問題は、この境界線に関する問題となります。「境界線を無視して花壇を広げられた」「境界線を越えて枝葉が侵入した」など、相手の領域を犯すことで問題となります。
もし境界線が見えていれば、見て確認することができるでしょう。ですが、一般的に境界線は見ることができません。そのため、悪い人は「見えなければはみ出してもいい」と考え、境界線を超えて使用しトラブルとなるのです。

境界を示す境界標


「境界線は見ることはできない」これはどうしようもないことです。そこで、境界線も目視できるように境界標を設置します。(上記が画像)
境界標とは、境界を区切りを示す目印のことで、土地の所有者の同意に基づいて設置されます。境界の隅に境界標を設置し、境界標で囲んだ内側が所有する土地であると、眼で見てもわかりやすくしてくれます。
境界標の材質や大きさなどに規則や制約は特にはありません。いってしまえば何でも構わないわけです。ですが、一般的には頑丈で永続性のある素材を使用します。コンクリート杭や御影石、プラスチック杭などが丈夫でよく使用されています。

境界の種類

土地同士の境界は、国が定める「筆界」と、貸し借りで変動する「所有権界」に分けて考えることができます。

筆界

筆界とは、法務局に登録されている土地の区分の事です。国が定めている境界になり、一般的には変動はしません。ただ、分筆(土地を分ける)や合筆(土地をくっつける)の登記を申請すれば、境界線も変動します。

所有権界

所有権界とは、所有者の権利によって変わる境界の事です。一見すると筆界と同じに思えますが、所有権界は土地の所有者間で、自由に境界線を変更することができます。

例えば、土地の一部を他人に貸し出す場合、筆界で見れば境界を侵食していますが、所有権界で見れば問題はないのです。

一般的には筆界と所有権界は一致するのが普通です。ですが、近年では使用していない土地を貸し出すなどが多く、そのことで境界トラブルが問題となってきました。そのため、平成17年に不動産登記法を改訂し、筆界と所有権界という扱いになったのです。

実際の境界線トラブルの例

土地は個人の物です。そのため、民法では「一物一権主義(一つの物に一人の所有者)」として扱います。境界線トラブルはその考えを逸脱することで発生します。

境界線を越えてくる人

もっとも多い境界線トラブルは「境界線を越える」ことです。境界線を越えてくる人は、境界線がわからないことをいい事に、相手の敷地にまで物を置いてしまいます。また、枝葉が侵入してトラブルになることもよくあります。塀や垣根を使って物理的に防ぐことが多いですが、畑などではそれは難しく、境界トラブルとして扱われています。

境界標を勝手に設置する人

建て替え工事などの後でよく問題となる境界トラブルです。工事する際境界標を抜いてしまうことがあるのですが、改めて挿す際、多めに見積もって挿してしまいます。また、震災によって土地があやふやな時に勝手に設置されてしまうこともあります。

境界標は境界を見えるようにしているだけで、境界標が境界なわけではありません。そのため、境界標を勝手に設置して自分の土地にしようとすることは、立派な侵略行為です。意図的にするようなら火事場泥棒などと同じと思いましょう。

不明な土地を不当に占領する人

不明な土地を占領して問題となることもあります。日本にある土地はすべて誰かの所有物です。個人の土地はもちろん、道路や公園などは国や市の所有物となります。もちろん不明な土地も誰かの土地といえます。そのため、勝手に占領するということは誰かの土地を勝手に占領しているということなのです。

「道路にはみ出して物を置いておく」「両家の間の隙間を占領する」など、国や市などとトラブルになることもありますので注意しましょう。

境界線トラブルを感じたら

もし境界線トラブルになりそうなら、弁護士や土地家屋調査士会ADR(境界問題相談センター)などに相談してください。話し合いで解決できれば一番いいですが、場合によっては口論となり状況が悪化してしまいます。また、塀や境界標を設置する際も、両家と第三者を見届け人にすることをおすすめします。勝手に設置することで「侵略した」「勝手にされた」とトラブルになりやすいからです。

「隣人とトラブルになると気まずい」と思う人は多いと思います。ですが、放置しておけばいつの間にかどんどん侵略されてしまいます。自分の土地は自分で守るようにしてください。まずは、境界の指摘と注意、それでもダメなら専門家に相談して境界線トラブルに対処していきましょう。