住宅ローンは、長い期間をかけて返済しなければなりません。「もし住宅ローンの返済が困難になったら、家に住めなくなってしまうのでは?」そう心配する人も多いですが、すぐに家を奪われてしまうことはありませんよ。
住宅ローンにはさまざまな救済措置が施されているのです。最近話題になっているのが、「疾病保障付き住宅ローン」ではないでしょうか。
今回、この「疾病保障付き住宅ローン」がどのようなものか、また住宅ローンの返済が困難にならないための対処法についてお教えしたいと思います。
疾病保障付き住宅ローンとは
住宅ローンを借りるとき、一般的に火災保険と団体信用保険もセットで加入します。
火災保険はその名のとおり火事で家が消滅してしまったときの備えです。火災で家がなくなっても住宅ローンは残りますが、保険に加入していれば、保険金で完済することができます。
もうひとつの団体信用保険とは、一種の生命保険です。関係者の間では、略して「団信(だんしん)」と呼ばれています。
住宅ローン契約者(借りる人のこと)が死亡あるいは高度障害になったとき、いわゆる稼ぎ頭を失った状態で、残された家族だけでは支払が困難になってしまいます。この場合にローンの残額を肩代わりしてくれます。残された家族はそのまま家に住み続けることができますし、銀行側も担保を得ることができます。
団体信用保険の考え方をベースに、重大疾病までに保障の範囲を広げたのが疾病保障付き住宅ローンです。「病気になって仕事ができなくなったら……」という不安を解消してくれるので、今注目が集まっているのです。
保障はつくけど、金利がアップ
疾病保障付き住宅ローンは、いくつか種類があります。大きくわけると、対象をがんに絞った「がん保障」、がんに加え、脳卒中、急性心筋梗塞を対象にした「3大疾病保障」、さらに糖尿病や慢性腎不全などもカバーする「7大疾病保障」「8大疾病保障」の3つになります。
保障の範囲が広いほど、安心感を得られるわけですが、疾病保障付き住宅ローンは金利が上乗せされることになります。上乗せされる金利は、種類によって、金融機関によって違います。
概ね、がん保障の場合、0.1%前後、3大疾病保障の場合、0.2%前後、7大疾病保障、8大疾病保障の場合は、0.3%前後になります。仮に、住宅ローンの借入3,000万円、35年返済、固定金利1.2%、上乗せ金利が0.3%だった場合、約182万円多く払う計算になります。
ちなみに団体信用保険も借入金や返済期間によって変わるものの、保険料は50~60万円になるので、広い範囲をカバーする点を考慮すれば、決して高くはないでしょう。
疾病保障付き住宅ローンは、それぞれの金融機関によって、保障の条件が違うのでよく確認することをおすすめします。がん保障であれば、がんと診断されたら保障の範囲になりますが、初期がんを除く場合がほとんどです。
それ以外の疾病保障も就業不能が30日を越えると適用されるものから、60日以上、180日以上とさまざまとなっています。
住宅ローンの返済が困難にならないための対応策3か条
ここでは、住宅ローンの返済が困難になる前に対応できることを説明したいと思います。
金融機関に相談
もし住宅ローンの返済が困難になりそうな兆候があったら、まずは、金融機関に相談します。住宅ローンを借りているときは、土地や建物に抵当権が設定されています。そのため、支払が滞ると原則競売にかけてローン残高の回収をするのですが、金融機関側の本音としては、競売にかけるよりも、長く住宅ローンを利用してほしいと考えているのです。
もし、「転職して収入が減った」「一時的に多額の支払いがある」など、支払が困難になりそうな状況がわかったら、金融機関に相談します。早い段階なら、ローンの減額や返済計画の見直などが可能です。滞納する前に相談するのがポイントです。
住宅ローンの借り換え
今よりも金利の低い住宅ローンに借り換えることを検討します。一般的にローン残高1,000万円以上、金利差1%以上あればメリットが出るといわれています。
ただし、ローンの借り換えによる減額効果は、月で1~2万円程度と限定的ですから、できるだけ早めに対応しておくとよいでしょう。
生活の見直し
これはテクニックというわけではありませんが、無駄な出費を抑えることです。100円、200円の節約の積み重ねが大切です。携帯電話、電気、ガスの契約先、保険など固定で支払っている費用の見直し、つい買ってしまうペットボトルを水筒に変えるだけでも節約効果があります。
住宅ローンは長い期間で返済していきます。その間、なにがあるかわかりません。特に大きな病気になると、収入が途絶えるばかりか治療費がかさみ、住宅ローンの返済が困難になることも。
そんなときの救世主が、疾病保障付き住宅ローンです。これから住宅ローンを利用する方、借り換えを検討している方、一度、検討してみてはいかがでしょうか。