売買契約締結後の契約解除は可能?手附金はどうなる?違約金は?

売買契約締結後の契約解除は可能?手附金はどうなる?違約金は?

不動産の購入は、どれも必ず売買契約を結びます。巨額の取引となりますので、何かあった時のために契約は必要になるのです。

基本的に売買契約が成立したら、後は支払いだけです。ですが、何らかの理由から「契約を解除したい」と思うこともあるでしょう。

実際に、売買契約の締結後に契約解除は可能なのでしょうか?また、手附金や違約金など、手続きや条件はどうなるのでしょうか?

契約解除するためには

契約は、締結してしまうと基本的には解約することはできません。解約しないために契約するのですから当然といえるでしょう。そのため、「やっぱりやめる」というように気軽に解約することはできません。

ですが、条件によっては解約することもできます。手段はいくつかありますので、状況に応じて対処してください。

クーリングオフによる解約

通販などでよく耳にする「クーリングオフ」ですが、実は不動産の売買契約でも適用することができます。

ですが、解約するためには3つの条件が必要です。
・売主が不動産業者(宅地建物取引業者)であること
・出張販売や訪問販売など、事務所以外で行った契約であること
・売買契約締結後、8日以内であること

以上の条件が整っている場合のみ、解約の書面を提出することで解約することができます。

ただし、例外として「すでに物件の引き渡しと支払いが完了している場合」はクーリングオフはできません。

8日以内での完済はまず無いとは思いますが、注意してください。

手付放棄による解約

手付とは、「買いますよ」という意志を表明するために先に支払う頭金の事です。

本来なら手付金がそのまま支払いの一部となりますが、放棄することでも契約解除することができます。
また、手付金放棄による解約は売主側でも行うことができます。ただ、その場合はお詫びとして、すでに支払っている手付金と同額の金額を上乗せして返却しなければなりません。

つまり、手付金が100万円の場合、買主側の破棄なら手付金の100万円を売主に譲渡する。売主側なら倍の200万円を返却することで契約を破棄できます。

手付金を無駄にしてしまいますので、損をしないためにも、可能ならばあまりしたくない契約方法です。

天災による解約

天災などによって被害を被った場合は無条件で解約することができます。

日本は、地震、津波、台風など、自然災害が多い国です。東日本大震災の報道でその脅威は鮮明に記憶に残ったことでしょう。

もし、契約した物件が、そのような災害に巻き込まれたらどうでしょうか?多くの場合は損壊しまともに機能しないかもしれません。

もちろん、そのような破損品を売りつけられてしまっては買主は困ってしまいます。不本意とはいえ契約内容とも違ってきますので、買主は契約を破棄することができるのです。

互いに売買したくても、天災による被害はどうしようもありません。売主には申し訳ありませんが、すべてを白紙に戻すしかないのです。

瑕疵担保の問題による解約

瑕疵とは、雨漏りやシロアリ被害などの隠れた欠陥の事を指します。購入当初は気が付かなくても、後に気が付くことはよくあることです。そのような、瑕疵問題の場合も契約解除することができます。

本来なら、瑕疵の修復や説明などをするべきなのですが、売主も知らなかった場合は仕方がありません。ですが、建築法では「瑕疵被害に対して売主が対処するよう」法律で決められています。

一般的には、2年の瑕疵担保責任が必要になり、新築の物件になると10年の瑕疵担保責任が必要になります。また、損傷によっては対処するのが困難な場合もあり、その場合は解約を許可しなければなりません。

ただ、瑕疵はあくまでも「売却前からの損害」に限られています。そのため、8年など年月が過ぎた状態で発見しても、それは「購入前の欠陥」なのか「購入後の経年劣化」なのか判断できないということがあります。

場合によってはトラブルや裁判に発展することもありますので、発見は早めに、交渉は穏便にするよう注意してください。

ローン特約による解約

住宅の購入には様々な特約を契約します。住宅ローンもその一つとなり、契約することで購入できるようになるのです。

ですが、場合によってはそのような融資を受けられない場合もあります。年収や仕事内容によっては本人に非が無くても契約できないこともあるのです。

そのような、住宅ローンなどの特約を受けられない場合、売買契約は無条件で解約することができるようになっています。

いざ売買契約したのに、購入するための住宅ローンが組めないようでは購入もできませんので、当然といえば当然でしょう。

正確には、「破棄する方法」ではなく「破棄しなければならない」事ではありますが、住宅ローンが組めなくても破棄できることを知っておきましょう。

合意による解約

もっとも平和的に解約する方法は、契約者同士が契約の破棄について同意することです。

契約は、あくまでも双方が納得するために行うものです。そのため、双方が契約の破棄に納得すれば、簡単に契約解除できてしまいます。

もちろん、話し合いだけでなく、違約金などの条件を提示して同意を求めてもいいでしょう。

正当な方法で相手が納得すれば、それですべてが解決します。後に問題が無いように、話し合いの内容を書面に残しておくと安心です。

相手の好意による解約ですので、しっかり感謝してください。

契約は慎重に

いくら契約が解除できるからといって、契約は気軽にするものではありません。条件や手順が必要で面倒だったり、手付金の破棄や違約金の請求など損をしてしまうこともあります。

そうでなくても、契約は互いの信用の基に行います。それなのに、簡単に破棄するようでは信用はガタ落ちです。場合によってはブラックリストに載ってしまい、購入でき無くなってしまうこともあるかもしれません。

やむない事情でもなければ、契約は破棄しないようにしてください。

よく見てよく聞いてよく調べて、さらに契約内容をしっかり読み込んでから、互いに納得のいく売買契約にしましょう。