新築住宅は全てが新しいので、設備や美観、様々な点で非常に魅力的です。しかし、新築の購入費用は非常に高く、簡単には手が出せない状況もあります。
一方、視点を新築から中古に移すならば、価格的にも手頃で、高品質の住宅が多いです。国も、この優良な中古住宅を積極的に活用する動きを取り始めています。
なぜ中古住宅なのか?
新築住宅は性能も品質も高く、非常に人気がありますが、中古住宅にも新築と比べて遜色の無い高品質の物が多くあります。築年数は古くなっているかもしれませんが、元々の性能が非常に高かったため、「まだまだ使える」物件が非常に多いのです。
人口減少等の社会的背景
中古住宅がクローズアップされて来た背景には、国の政策もありますが、そこには人口減少等の社会的背景があります。その様な社会環境の中で、若い世代の人たちに良い住環境を普及させるためには、中古住宅の活用が経済的にもメリットが大きいのです。
例えば、住宅政策の一つに所得税の住宅ローン控除がありますが、これは行政側から見るならば、ローンの残高が少ないほど控除額が少なくて、財政的負担が少なくて済みます。中古住宅ならば取得費用と共にローンも抑えられて、控除額も少なくなり、負担も軽減されるのです。
子育て世代の住宅供給が容易になる
少子化の対策としては、子育て世代への住居面での支援が重要で、そのためにも、住宅を取得しやすい環境整備が必要になります。
中古住宅に必要なメンテナンスを掛けて、新築住宅と遜色の無い、快適な生活が出来る様にすれば、子育て世代の家庭も、手頃な価格で良い住宅を取得することが出来る様になります。
土地開発の点でもメリットがある
今の中古住宅が建った土地は、「街」として造成された地域も多く、鉄道等の交通アクセスの利便性も高い場所が多いです。立地条件ならば、今の新築住宅よりも中古住宅の方が、優れている場合も多いです。
また、新たに土地を造成するならば、費用的にも莫大な額が必要になります。中古住宅の土地を活用した方が、費用的にもメリットが大きいのです。
空き家等の諸問題
空き家の問題は、建物の老朽化による倒壊の危険性や、防犯上の問題、景観や衛生上の問題が出て来ます。
例としては、雑草や小動物の問題が出て来ます。誰も手入れをしないので、雑草は伸び放題になり、ネコなどの小動物が集まる様にもなります。周辺住民とのトラブルにもつながっているのです。
国の政策について
国も国土交通省を中心にして、中古住宅の流通に積極的に取り組んでいます。国土交通省は、研究会の設置、指針の策定、そして支援策を設けて中古住宅政策を推進しています。
市場の活性化に向けた検討や指針
中古住宅の円滑な流通のためには、既存住宅の品質が分かりやすいことが重要になりますが、そのためにも住宅評価も分かりやすいことが必要になります。
国土交通省では、中古住宅の流通・活用に関する研究会を設置し、既存住宅の評価に関する指針等を策定しています。取り組みとしては、既存住宅インスペクションのガイドラインの策定や、住宅リフォーム事業団体の登録制、特定既存住宅情報提供事業者団体登録制度(安心R住宅)の創設等をしています。
市場活性化のための支援策等
支援策としては、費用負担や保険制度、税制上の優遇を設けています。
例としては、インスペクションや、性能向上のためのリフォームやメンテナンス等の住宅の長寿命化を図る優良な取り組みに対して、費用の一部を支援する取り組みがあります。また、安心してリフォームが出来るためのインスペクションと保証がセットになった保険制度を用意しています。
税制の優遇としては、耐震補強やバリアフリー化、そして省エネ化と言ったリフォームに対して税制優遇がなされる特例措置(バリアフリー減税、リフォーム減税など)を設けています。