個人がマンションを売却しても消費税がかかる?売却時の注意点

個人がマンションを売却しても消費税がかかる?売却時の注意点

飲食物や洋服、日用品といった私たちが日常生活で消費する商品には消費税が課税されています。これらの商品を売却した業者は、売却時に受け取った消費税を国に納付しますが、個人がマンションを売却する場合にも売却額に対して消費税が適用されるのでしょうか?

そこで今回は、個人がマンションを売却した場合の消費税の扱いについて詳しく解説していきます。

土地には消費税が課税されない

100円ショップで買い物をしようと100円だけ持って買い物に行っても、商品には消費税が課税されるため100円では購入できません。また、消費税が5%から8%に増税された時は、増税前に住宅を購入する人が増えましたが、消費税は何に対して課されるのでしょうか?

消費税とは、物を買ったりサービスを受けたりする際に課される税金です。不動産売買では一部の売買代金のほか、不動産会社に売買の仲介を依頼する際の費用や司法書士に不動産登記を依頼する際の費用などに消費税が課せられます。

商品を消費したりサービスを受けたりすることに対して消費税が課税されるという性質を考えると、土地は消費したりサービスを受けたりするものではないため、消費税の性質には該当しません。そのため、土地の売買を行っても売買代金に消費税は課税されません。

個人の売却は基本的に消費税がかからない

マンションを売却する際は、土地部分と建物部分に分けて消費税が課税されるか考えます。しかし、土地部分は消費税が課税されないため、実際には建物部分に消費税が課税されるかどうかが重要です。

消費税が課税される性質を考えると、個人が居住しているマンションの建物も消費したりサービスを受けたりするものではないため、消費税の性質に該当していません。そのため、個人が自身の居住するマンションを売却する場合には、土地部分だけでなく建物部分にも消費税が課税されません。どのような場合に消費税が課税されるのでしょうか?

消費税がかかるのは売主が個人ではない場合

マンションの売却時に建物部分に消費税が課税されるのは、売却を行うのが以下の2者に該当する場合です。

  • 法人
  • 個人事業主

この2者は、なぜ消費税の課税対象になるのでしょうか?それぞれの売主の場合について詳しく見ていきましょう。

法人

消費税が課税される対象は、以下の4つの要件を全て満たしている場合です。

  • 国内において行われる取引である
  • 事業者が事業として行うものである
  • 対価を得て行うものである
  • 資産の譲渡、資産の貸付、役務の提供である

法人が所有するマンションを売却する際は、これらの要件を満たしているため、建物部分に消費税が課税されます。法人がマンションを契約しているのは、事務所として契約しているほか社宅として契約しているパターンがあります。

個人が居住しているマンションを売却する場合は、建物部分に消費税が課税されませんが、契約者が法人の場合は、法人の社員が居住していても建物部分に消費税が課税されるため注意しましょう。

個人事業主

個人は個人でも個人事業主の場合には、先ほどの消費税が課税される要件を全て満たしているため、建物部分に消費税が課税されます。個人事業主とは、マンションを居住用としてではなく、第三者に貸し出して家賃収入を得るために所有しているような個人のことです。

個人であれば何でも消費税が課税されないというわけではありません。あくまでも個人が居住するマンションに限定されているという点に注意しましょう。

法人や個人事業主でも課税されない場合もある

法人や個人事業主がマンションを売却する場合には、「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に該当するため、建物部分に消費税がかかるのが一般的です。しかし、免税事業者に該当する場合には、消費税が課税されません。

免税事業者とは、法人や個人事業主でマンションの売却を行う年の2年前の課税売上高が1,000万円以下の事業者のことです。免税事業者になるかどうかの基準が、1年前ではなく2年前であるというのがポイントです。

特殊な事例では専門家に相談することが重要

マンションを購入して居住していたものの、転勤などで売却ではなく一時的に運用という選択をとる場合があります。個人事業主のように最初から運用を目的としていない場合も消費税の課税対象になるのでしょうか?

「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」という点で考えると、事業者ではないので課税対象ではなさそうですが、対価を得て行う資産の譲渡等には該当するため難しい判断になります。

本来は納税しなければいけないにも関わらず納税していなかった場合には、延滞税が発生します。平成30年における延滞税は、納期限の翌日から2か月を経過するまでは年2.6%、それ以降については年8.9%です。

課税されるかどうか分からないような特別なケースの場合は、後でトラブルになることを防ぐためにも、税理士などの専門家に相談するようにしましょう。