購入後のトラブルを防ぐ『告知書』とは?どんな意味があるの?

購入後のトラブルを防ぐ『告知書』とは?どんな意味があるの?

「隣の芝生は青く見える」といわれるように、どの住宅も購入前は輝いて見えます。綺麗な室内や不動産の紹介された内容などから「良い買い物をした」ときっと思うでしょう。

ですが、必ずしも望んだままの住宅が購入できるとは限りません。目に見えない部分や秘密にしていた部分などから「こんなはずでは」と思うかもしれません。特に、中古住宅では経年劣化により、問題点は沢山あるでしょう。

そんな、トラブルを回避する方法として「告知書」について説明します。

告知書とは

告知書とは、建物などの不動産を売り渡す際、売り渡す建物などの不動産の状況を鮮明に記載した報告書の事です。一言で告知書とは言いますが報告書は1枚だけではなく、実際には「付帯設備表」と「物件状況等報告書」の2種類の報告書を合わせて告知書といいます。

付帯設備表

付帯設備表とは、建物などの不動産に付属している設備についての報告書です。エアコンや浄水器などの有無はもちろん、トイレ設備やふすま、門や庭石なども記載されます。個数も明確に記載することで、売り渡す際に過剰に申請したり、ゴミを置いて行かれたなどのトラブルを防ぐことができるわけです。

また、相談によっては物を「撤去」することもできます。テレビやエアコンなど、すでに持っている場合は、置いて行かれても邪魔にしかなりません。そのような場合は、売り主と相談して売り渡す際に撤去してもらうこともできます。

設備の記録だけではなく、残すか残さないかの判断も、付帯設備表は行います。

物件状況等報告書

物件状況等報告書とは、建物などの不動産の状態を示す報告書です。雨漏りやシロアリ被害などの状態や、修理工事などを記載します。それ以外にも、建築やリフォームの資料などの有無も確認し、内容を買主が知れるようにしています。

また、建物の状態だけではなく、地盤や公害についても記載欄があります。さすがに原因を知らない人が多いですので、感じた内容や時期などあやふやな内容ではありますが、それでも、「生活している中で気が付く程度の問題がある」ことを知るのは大きい意味があるでしょう。

売主も気が付かない劣化

売主は告知書に、住宅の状況を告知する義務があります。ですが、売主でも知らない問題があるかもしれません。

壁のヒビなどの目に見える場所ならわかりやすいですが、屋根裏や軒下の水漏れなど、染み出さない程度なら、ほとんどの人は気が付くことはありません。何年か後に問題になるかもしれませんが、現状では問題が無く、気が付かないで問題なしにしてしまうことも珍しくはないのです。

そのようなことが無いように、瑕疵担保責任というのがあります。

瑕疵担保責任とは、売主が売り渡すことで生じる責任で、気が付かなかった問題によりトラブルが生じた際、売り主が対処する必要があります。

「売った後なら関係ないのでは?」と思うかもしれませんが、瑕疵担保責任が無いと、雨漏りなどを隠して工事を買主に押し付ける、悪い売主があらわれてしまうからです。

もちろん、瑕疵担保責任はいつまでも続くわけではありません。多くの場合、売主は1週間(7日)の保証で契約しますので、1週間を超えて見つかった場合は関係なくなります。状況と内容によって変わっては来ますが、いつまでも面倒を見なければならないわけではないですので安心しましょう。

告知書の虚偽申請

住宅に欠陥があると資産価値が下がり高く売ることができません。そのため、物件状況等報告書などに、欠陥があるのに問題なしと虚偽申請をする人もいます。

もちろん、この行為は犯罪です。発覚することで民法第572条が適用されます。ただ、これは「知っていたかどうか」で判決は変わります。知っていれば虚偽申請ではありますが、知らなければ瑕疵担保責任が当てはまるからです。

住宅の受け渡し(購入)にはこういった、悪質な行為も少なくはないのです。

中古物件は購入すべきではない?

虚偽申請や築年数の事を考えると、「中古物件は購入すべきではない」と思うかもしれません。実際にトラブル被害にあった人も多く、考えの後押しをしてしまうことでしょう。

ですが、中古物件は「実際に住んでいた」という実績があります。多少は劣化してしまっていますが、いままで地震などで崩壊しなかった証拠になります。また、告知書の話し合いによって割引されたり、いらない家具を譲渡したりなど、売主と交渉ができます。人によっては大切なエピソードを教えてくれて、住宅の見方が変わるかもしれません。中古だからこその味わいのある住宅といえるでしょう。

「百聞は一見にしかず」といいます。告知書の内容だけでもいろいろ分かりますが、被害の規模や、現状の様子などは説明だけではよくわかりません。告知書の確認だけではなく、可能ならば実際に見学したり、建物状況調査員などのプロの目を活用したりして、情報に惑わされない購入をしてください。
最後に、売主と良好に、気持ちの良い取引にしましょう。