知らなきゃ損をする?公募売買と実測売買のメリットとデメリット

知らなきゃ損をする?公募売買と実測売買のメリットとデメリット


中古戸建住宅を購入して、何らかのきっかけで土地の広さを測定したところ、売買契約書に記載されていた面積よりも狭くて損をしたという人もいるのではないでしょうか?しかし、これは相手が騙そうとしたのではなく、実測売買ではなく公募売買によって行われたため発生したトラブルと言えます。

そこで今回は、公募売買と実測売買の違いとメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

登記簿の面積と実測の面積が異なる場合がある


不動産の登記簿に記載されている面積が正確な面積を示していると思っている人も多いのではないでしょうか?しかし、その登記簿に記載されている面積がいつ測量したものかで大きな誤差が生じている場合があります。

字切図(あざぎりず)という明治時代に作成された公図は、測量技術が発達していないため地図の制度が低く、税金を多くとるために面積を大きめに記載する傾向がありました。

一方で、1951年には制度が高い地籍調査図の作成が始まっており、法務局も不動産登記法14条第1項に基づいて、14条地図という制度の高い地図を作成しています。

いつ測定された面積が登記簿に記載されているかで、登記簿の面積と実測の面積に大きな差が生じている場合があるので注意が必要です。

公募売買とは


公募売買とは、取引の対象である不動産の実測を行わずに、登記簿に記載されている面積を信用して取引する方法です。

最近区画整理されたことによって、登記簿に正確な面積が記載されているような事例では、公募売買が用いられるのが一般的です。公募売買にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

公募売買のメリットとデメリット

公募売買は、登記簿の面積を基準として取引を行うため、面積の再調査に必要な測量費用を払わなくて済むため、費用を抑えることができるというメリットがあります。また、調査を省くことで、売買契約までを速やかに行うことが可能です。

一方で、実測をしなかったことで、実測した面積が登記簿に記載されている面積より狭いと損をするというデメリットがあります。また、境界をめぐって近隣トラブルが存在している場合は、後で大きなトラブルに発展する可能性があることもデメリットと言えるでしょう。

実測売買とは


実測売買とは、土地家屋調査士などの資格者に、実際の土地の面積を調査してもらった上で取引する方法です。

登記簿に記載されている面積を測定したのがかなり昔で、登記簿の信憑性が低い事例では、実測売買を用いるのが一般的です。

実測売買で取引を行う場合には、効率良く売買契約を進めるために、売買契約まで登記簿に記載されている面積を基準に進めます。調査結果で面積に乖離があった場合は、引渡し時に差額を清算します。

測量費用は売主負担が一般的ですが、買主が測量を求めるケースもあるため、売主と買主で話し合って折半になることもあります。実測売買にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?

実測売買のメリットとデメリット

実測売買は、土地家屋調査士などの資格者が実際に測定してくれるため、正確な面積を把握できるというメリットがあります。

一方で、土地家屋調査士などの資格者に土地の測定を依頼することになるため、追加で測量費用が発生するほか、調査を行うことで時間と手間がかかるというデメリットがあります。

また、登記簿に記載されている面積と実測した面積との乖離が大きい時は、売主と買主との間でトラブルに発展する可能性があることもデメリットと言えるでしょう。

売主と買主で合意しておくことが重要


隣家との境界に塀やフェンスなどがない、境界杭が見当たらない、地価が高い地域といった条件を満たしている場合は、売買契約後のトラブルを防ぐためにも、土地家屋調査士などに依頼した方が良いと言えます。

しかし、土地家屋調査士などに依頼して境界杭の設置や面積の測量を行ってもらうと、費用設定は自由であるため依頼相手によって異なりますが、50万円程度かかるのが一般的です。

そのため、土地家屋調査士などの依頼費用が売主負担の場合は支出が多くなるほか、測量に時間がかかるので、登記簿の面積を基準にして売買を行う公募売買で取引を済ませたいと思う売主も多いと言えます。

経費や時間などの都合で、売主と買主の合意のもとに公募売買を用いるケースもあります。しかし、公募売買を用いる場合には、後で「言った・言わない」のトラブルを防ぐためにも、対策を練っておくことが重要です。

例えば、売主と買主の合意に基づいて公募売買を用いたこと、登記簿の面積と実測の面積に差があったとしても後で清算を行わないこと、公募売買によって生じたトラブルに関する損害賠償の取り決めなどを売買契約書にしっかりと盛り込んでおくなどです。

「スッキリと売買契約を完結させたいので実測売買にする」という人の場合には、土地家屋調査士などの測量費用を少しでも抑えるために相見積もりを取っておくことが重要です。また、測量には時間がかかるため、逆算して依頼を行うようにしましょう。