立地適正化計画とは?不動産は将来の資産性を考慮する時代へ

立地適正化計画とは?不動産は将来の資産性を考慮する時代へ

「消滅都市」という言葉を聞くと、「映画のタイトル?」と思う人もいるかもしれませんが、この消滅都市が現実味を帯びてきています。その裏には「立地適正化計画」というプランがあるのですがご存知の人は少ないのではないでしょうか?

そこで今回は、この立地適正化計画とは何なのか、気を付けるポイントは何なのかについて詳しく解説していきます。

少子高齢化による人口減少

平成28年版厚生労働白書によると、1900年に4,000万人だった人口も1967年に1億人を突破し、2015年の1億2,711万人をピークに減少しつつあります。このペースでいくと、2050年には1億人、2100年には5,000万人を割り込むことが予想されています。

人口が増加傾向にあった頃は、居住地が足りないことなどを理由に、ニュータウンの開発に積極的だったものの、現在はそのニュータウンの開発も途中でストップするところも多くなりました。

結果的に、都市部に人口が集中するドーナツ化現象がさらに深刻化するようになっており、郊外の過疎化がさらに深刻化する事態になってきていると言えるでしょう。

都市計画法に基づく立地適正化計画

日本では地方自治体が基本計画を作成し、計画に基づいて都市の発展を推進させながらも秩序のある街づくりの整備を進めていくために、都市計画法という法律を定めています。

都市計画法では、土地を都市計画区域と都市計画区域外の2つに分類します。さらに、都市計画区域は、市街化区域と市街化調整区域、非線引き区域に分類します。市街化区域とは、既に市街化していたり今後10年以内に市街化を積極的に推進したりする地域です。

市街化調整区域とは、市街化を抑制する区域のことで、田んぼや畑などがある農村地帯などです。非線引き区域とは、区域や区分が定められていない地域のことで、市街化調整区域とともに土地の利用が大幅に制限されることから資産価値としては低い土地でした。これが今までの都市計画法におけるおおよその分類です。

立地適正化計画とは

これまでの都市計画法は、人口の増加によって住宅が乱立され、自然が破壊されないように自然と都市が共存するために設けられているものでした。しかし、少子高齢化の影響による人口減少の影響を受けて都市計画法を見直す必要が出てきました。

人口が減るということは税収が減る、高齢者が増えるということはインフラ整備のための費用も増えることを意味します。つまり、少子高齢化の影響を強く受けている過疎地域では、市町村の財政圧迫が深刻化してしまうためです。

そこで設けられたのが「立地適正化計画」です。立地適正化計画とは、2014年8月1日に「改正都市再生計画特別措置法」が施行され、全国の自治体で立地適正化計画が進められるようになりました。

立地適正化計画では、住居や公共施設、医療施設、商業施設などが揃った居住地域を一定の範囲内に収めてしまうというものです。コンパクトなまちにすることで、市街地の空洞化や財政の圧迫化を防ぐことが期待されています。

立地適正化計画と不動産の資産価値

立地適正化計画が進められることが不動産の資産価値に影響を与えるのでしょうか?立地適正化計画では、今までは市街化が進められていた市街化区域に居住誘導区域と居住調整区域を新たに設けます。

居住誘導区域では、今まで通り住居の新築やインフラの整備などが積極的に行われますが、居住調整区域では、自宅の建て替えや所有している敷地への新築などは制限されませんが、インフラ整備も行われません。

居住調整区域は、将来的に人口の減少が著しいと予想されている地域です。現在は公共施設、医療施設、商業施設などが充実していても徐々に撤退することが予想されるため、所有していても売りたくても売れない負の遺産になってしまうと言えるでしょう。

「SelFin」というツールを使って危険な物件を回避

SelFin(セルフィン)」とは、AI(人工知能)が不動産の資産価値やリスクを瞬時に判断してくれる物件のチェックツールです。SelFinを活用することによって知ることができる主な情報は以下の通りです。

  • 価格の妥当性
  • 対象不動産の流動性
  • 耐震性
  • 住宅ローン減税の有無
  • 管理状況(マンション)
  • 土地の資産性(戸建て)

どうやって危険な物件を回避できるのか詳しく見ていきましょう。

「SelFin」で街力を測定

なぜ、SelFinを活用することによって危険な物件を回避できるようになるのでしょうか?例えば、物件の購入を検討していて不動産業者に相談したとします。不動産業者が居住調整区域の物件の売却を手掛けていて勧められたとして見抜くことができるでしょうか?

不動産業者は、居住調整区域の物件の売却を依頼されていると、売買を成立させるために、自分に有利な情報しか提供しない場合があります。「こちらは居住調整区域になりますが、今売り出し中の地域で安く手に入ります」と言われてしまえば最後です。

しかし、SelFinは不動産業者のようにバイアスがかかることはありません。AIを駆使して公平公正な立場で物件の資産価値を判断してくれます。例えば、流動性という項目では対象地域の街力を測定してくれます。

全国平均の街力と比べることによって、将来的に居住調整区域に含まれることがないかの判断材料にもなります。また、立地適正化計画に関する注意も記載されているなど、物件を購入する際のお役立ち情報が満載のシステムと言えるでしょう。