近年、高齢者社会ににありつつあることでバリアフリー住宅にする家庭が増えつつあります。手すりやスロープなどバリアフリー化には様々な物がありますが、実際に高齢者が「住みやすい家」とはどのようなものなのでしょうか?
よく行われているバリアフリーの場所を紹介しますので、自宅と照らし合わせて考えてみてください。
場所別のバリアフリーチェックポイント
バリアフリーをする場所は「動作が辛い部分」に行います。例えばデパートや駅のエスカレーターもその一つです。階段昇降は辛いため、エスカレーターやエレベーターを設置し、高齢者でも楽に移動できるようにしています。
また、「動作に危険がある部分」にもバリアフリーは行います。転倒や衝突など、動作が危ない場合もバリアフリーを行い危険を排除するのです。
リフォームするにしろ新築で探すにしろ、バリアフリーにするために確認しておきましょう。
玄関
・玄関の入り口はスロープか
・玄関は引き戸か
・土間は広いか
・土間と玄関スペースの高さは高くないか
玄関でチェックする場所は「玄関前がスロープかどうか」です。足腰が弱くなると段差を登るのが大変になります。場合によっては車イスを使用することもあり、段差があっては不便に感じてしまうことでしょう。ですが、スロープなら段差もなくなり車いすでも移動しやすくなります。
同様の理由で、土間にもある程度のスペースが必要になります。スロープは難しいですが、場合によっては手すりや踏み台などを設置することで、高齢者でも昇降しやすくします。
廊下
・滑りにくい床材質か
・手すりはあるか
・幅が広いか
廊下でチェックする場所は「滑りにくい材質かどうか」です。若いうちは廊下で滑ることは滅多にないと思いますが、足腰が弱くなると転びやすくなります。そのため、滑りにくい床材質が必要になってくるのです。
これは、リビングなど部屋の床にもいえることです。可能ならば階段も含めて、すべての床を滑りにくい材質にした方が安全になります。
他にも、杖の代わりに手すりを取り付けたり、歩きやすいように広いようだと、バリアフリーとして十分といえます。
階段
・手すりはあるか
・滑りにくい材質か
・段差は高くないか
階段では「手すりの有無」をチェックします。階段を踏み外すと高齢者に関わらずとても危険です。体を支えられるように手すりは必須といえるでしょう。
また、手すりは昇降のサポートにも使います。手すりを掴んで体を引っ張りあげたりすることで、足腰の負担を減らすことができるのです。
手すり以外にも、階段の段差は低い方がいいです。直線の階段よりも段数が多くなってしまいますが、螺旋階段やL字型の階段など、段数を増やすことで一段ごとの高さを低くすることができます。脚が上がりにくいなどの不調があるようなら検討してみてください。
扉
扉を確認する際は「引き戸であるか」をチェックします。開き戸でも問題はありませんが、引き戸の方が力を使わずに開けられるほか、開閉の際にバランスを崩しにくいです。
また、万が一室内で倒れても、引き戸ならすぐに開けやすく救助もしやすくなります。扉の幅が広ければより助けやすくなり、車いすの移動も楽になることでしょう。
一見、扉のリフォームは簡単そうに思えますが、引き戸のスペースを確保したりなど、意外と規模の大きいリフォームになりがちです。新築で探す際には、すでにバリアフリー設計されている住宅や、リフォームしやすいような広い住宅がおすすめです。
風呂場
・暖房設備があるか
・浴槽に手すりがあるか
風呂場では「暖房設備の有無」をチェックします。風呂はお湯を浴びることから「暖かい」と思われがちですが、お湯を浴びるまでは暖かいわけではなく、実際には服を脱ぐため「寒い」という意見の方が多くあります。夏場は良いかもしれませんが冬場は辛く、場合によってはヒートショック現象を起こしてしまう可能性もあります。そのため、事前に風呂場を温め、ヒートショック対策をすることが大切といえるでしょう。
また、浴槽に入るのなら浴槽の高さは低い方がいいです。浴槽が高いと乗り越えるのが大変になるほか、場合によっては腰が上がらずに、浴槽から出られない場合もあります。浴槽を出入りする負担を減らすため浴槽の縁はひくく、手すりにより立ち上がりやすい浴槽が良いでしょう。
リフォームに役立つ助成金制度
上記のチェックポイントを見てもらえればわかりますが、本格的にバリアフリーをするとお金がかかるのがわかると思います。予算の範囲内でバリアフリーをするのもいいですが、それでは「本当に暮らしやすい住宅」とはいえません。
そんな、予算の都合を解決してくれるのが「助成金制度」になります。助成金制度とは「一定の条件を満たした対象に対して、予算を負担する」制度のことです。
対象者となる人は「要支援者」と「要介護者」が該当し、バリアフリーのリフォームにも助成金が支給されます。全額負担とまではいきませんが、予算が支給されることによって、より多くのバリアフリー化を実現することができるでしょう。
ただし、支給はリフォーム前の申請が必要なほか、予算の支給はリフォームの支払い後になります。そのため、リフォーム費用は自分で用意する必要がありますので、無計画なバリアフリー化は控えるようにしてください。
本当に大切なバリアフリー
上記でいろいろ紹介したほかにもバリアフリーは色々あります。すべてをリフォームできれば老後も万全かもしれません。
ですが、実際にはそうではなく、バリアフリー化をしすぎてゴチャゴチャしてしまい、逆に住みにくい家になることもあります。費用も高額にりますので、あまり実現的ではないでしょう。
バリアフリーをする際は「どうすれば安全に生活できるか」を考えながらリフォームをしてください。玄関の上り下りが難しいなら手すりと踏み台を用意する。介護が必要なら風呂場やトイレなどの介護が必要な場所を広くするなど、「実際に生活してみた場合」に合わせてリフォームします。
そうすれば、無駄な費用は抑えられ、その結果すべてリフォームしてしまっても、無駄なリフォームにはなりません。
バリアフリーへのリフォームは、実際に自分が高齢者や障碍者になってみなければわからないことだらけだと思います。住宅を購入する際やリフォームする際は、不動産や専門家などに相談して、将来のため住宅を用意していきましょう。