昨今の年金問題は悪化を続け、老後の備えについても自己防衛の必要性に迫られました。金融商品や投資が活発になるのは、その様な社会的背景があるからとも言えるでしょう。
リバースモーゲージも、その様な経済的防衛手段として、利用者が増加している物のひとつです。
リバースモーゲージとは
リバースモーゲージは、個人が金融機関から自宅を担保にして、老後の資金を借りる融資です。特徴は契約後に借主が継続的に資金を借り続け、借主の死亡後に、金融機関が担保の住宅を売却し、貸したお金を回収する点にあります。
リバースモーゲージでは、借りた資金を返済することがありません。担保とした住宅を、最初から手放すことを前提として契約を結んでいるからです。金融機関から見れば、利用者の住宅に抵当権を設定して資金を貸し付け、担保の価値まで資金を貸したら、返済を求める代わりに担保を売却するイメージになります。
尚、利用者が仮に担保の評価額を借り入れる前に他界した場合は、評価額と貸付額の差額を、遺産の相続者に支払います。
リバースモーゲージのメリット
ここで、リバースモーゲージのメリットを挙げてみましょう。
自宅に住みながら資金を借りられる
リバースモーゲージの最大のメリットは、住み慣れた家に住み続けながら生活資金を受け取れる点です。当然ながら住宅には金融機関の抵当権が設定されています。しかし、売却は利用者が死亡した後で行われるので、存命中は収入が得られる様になっています。
使途は生活資金以外でも可能
金融機関の融資は資金使途について厳格で、使途以外の用途に使うと重いペナルティを課せられる場合があります。例えば住宅ローンを利用して投資用不動産を購入した場合など、金融機関は融資金額の一括返還を求める場合もあります。
しかし、リバースモーゲージは、使途が生活資金以外でも可能なのが大きな特徴と言えます。金融機関によっても差はありますが、住宅のリフォームや老人ホーム入居資金に充てることも可能です。
高齢でも借りることが可能
リバースモーゲージの特徴に、高齢での利用が可能な点があります。
特に貸し出しを積極的に展開している金融機関では、融資の対象を55歳以上として、利用するためのハードルを低くしています。ただし、年齢の上限を80歳未満とする金融機関もありますので、利用前には確認が必要です。
リバースモーゲージのリスク
命のある限りは生活資金を受け取れるイメージのリバースモーゲージですが、あくまでも融資であることを忘れるべきではありません。当然リスクも存在します。
長寿はリスクに繋がる
リバースモーゲージは、利用者の死亡後に物件を売却することとなっていますが、仮に借主が非常に長く生きた場合、借入金が担保の評価額を超えてしまう場合が考えられます。そうすると金融機関としては利用者に借入金の返済を要求したり、担保の住宅の抵当権を実行して、死亡の前に売却してしまう場合もあります。
担保の評価額も変わる
不動産の評価額は時期と共に変動します。例えば土地の路線価は見直されますし、実勢価格はまさに時価です。そして、住宅の価値も立地に連動して上下します。
リバースモーゲージの場合、その様な変動により、担保の価値も変わってしまい、価値を落とす場合もあります。そうなると担保力も低下してしまい、担保割れの危険性も出て来ます。担保割れの場合は、融資額が減ってしまう危険性も出て来ます。
基本的には土地の評価
リバースモーゲージの担保は、基本的に土地となります。建物は価値が落ちてしまう背景もあるため評価対象にはなりにくいです。ですからマンションの場合は利用がしにくいです。また、対象地域を限定している都市に限定する金融機関もが多いです。