マイホームの購入は必ずしも新品同様の状態で購入できるわけではありません。屋根裏の水漏れや、壁の腐食など、目に見えない場所に問題を抱えている場合もあります。特に、中古の物件では築年数に合わせて問題が生じている可能性が高いです。
もし、不動産に瑕疵(欠陥や不具合)が見つかった場合、瑕疵担保責任が適用されます。瑕疵担保責任とは何なのか?また、どのような範囲で責任を負ってもらえるのかなど、瑕疵担保責任についてわかりやすく紹介します。
瑕疵担保責任とは
瑕疵担保責任とは、「住宅購入後に欠陥や不具合が発生した場合、以前の売主が解決にあたる」責任の事です。
本来なら、住宅を売る際に水漏れなどの問題を見つけ、それを修理してから売り出します。欠陥品を売るわけにはいきませんので、当然の処置といえるでしょう。ですが、人間は完璧ではありません。目に見える場所はともかく、壁の中や天井裏などの見えない部分はどうしても見逃してしまう場合があるのです。
しかし、買主としてはそれでは困ってしまいます。マイホームを購入したのに、「すでに欠陥住宅でした」とわかれば、誰だって怒ってしまうでしょう。売主は気が付かなくても買主が気付くケースは色々あるのです。
そのような、気が付かなかったことにより生じるトラブルを抑えるため、瑕疵担保責任としてアフターケアを行っているのです。
瑕疵担保責任の期間
もちろん、いつまでも瑕疵担保責任を負わなければならないわけではありません。買主が瑕疵(不具合や欠陥)に気が付かない場合、住宅を購入してから10年が瑕疵担保責任の期間となります。
ただし、瑕疵(不具合や欠陥)に気が付いた場合はその限りではありません。瑕疵(不具合や欠陥)を知ってから1年間以内の修理が必要になります。
端的に言えば、「10年以内に見つかった問題は、1年以内に修理してもらえる」と覚えるといいでしょう。
ただ、あまり長すぎると(購入10か月とか)、購入前からの欠陥か購入後の経年劣化かわからなくなってしまいます。そのため、購入してから2~3ヶ月以内に瑕疵(不具合や欠陥)の報告をするのが一般的です。
瑕疵担保責任の範囲
では、実際にどこまでの範囲を瑕疵担保責任として補修してくれるのでしょうか?
基本は、「雨漏り」「シロアリ被害」「腐食」による問題が一般的です。他にも「水道管トラブル」や「家の境界線トラブル」なども対処する場合もあります。
例外などもありますが、物件状況確認書に記載する内容が対象と思っていいでしょう。契約の際に売主と買主の話し合いをしますので、詳しい範囲はその時に決めておくと、後のトラブルになりにくくなります。
瑕疵担保責任が適用される民法
瑕疵担保責任は、民法566条が適用されます。大まかに説明すると「居住に問題があるのを知らずに購入した場合、発見から一年以内なら、購入契約の解除、または、損害賠償を請求できる」と記されています。
他にも、宅地建物取引業法第40条も適用され、大まかに説明すると「自分で売る物は2年間の責任をもって販売する」と記されています。
瑕疵担保責任を果たさないことにより、「販売に責任が無く」、「契約の解除も損害賠償も行っていない」と見なされるわけです。
瑕疵担保責任の判例
実際の判例をいくつか紹介します。簡潔に紹介しますが、売主も買主も参考にしていただけたらと思います。
ヒビやグラつきが生じる
内容としては「新築マンションを購入したけど、間もなくして壁にヒビや手すりがグラつくなどがした」という内容です。
結果として、瑕疵担保責任ではなく違法建築が適用されたため、判例ではないかもしれませんが、実際にあるトラブルは少なくないのです。
雨漏りやシロアリ被害も多いですが、経年劣化により耐久度が減り、壁などのヒビや床の傾きも少なくありません。
地中に異物が埋め込まれていた
意外にあるのが、地中に異物が埋め込まれていた場合です。雨漏りやシロアリは基本のため確認はしますが、地中まで気が回らずに見落としてしまうことがよくあります。
ガラスやコンクリート片などのゴミのほかに、砒素や鉛などの有害物質が浸透していたなんてこともあります。中には、「地中に井戸が埋め込まれていた」なんてこともあり、多くの問題が裁判になりました。
内容にもよりますが、除去費用によっては100~1,000万円以上の賠償義務が認められてケースもあるようです。
アスベストが飛散していた
アスベストが飛散しているため、空気が悪くなるという話しもあります。アスベストとは石綿のことで、建材に含まれる石綿が、劣化などの理由からはがれ、有害物質として空気中をさまよっている状態の事を指します。
劣化やリフォームが粗かったりなど、様々な理由からアスベストが発生し、それによって肺や喉を傷めてしまったというわけです。
アスベスト以外にもハウスダストの問題は多く、瑕疵担保責任が適用されています。